自民党鹿児島市議団 行政視察(東京都中野区・金沢市)報告

 

【東京都中野区】

調査日程:平成29年5月23日(14:00~16:00)
調査場所:東京都中野区役所


調査項目:
「(仮称)総合こどもセンター整備事業」について
 (説明者)子ども支援センター所長

「めざせ ごみゼロ生活」に関する施策について
 (説明者)環境部ごみゼロ推進分野副参事
      環境部ごみゼロ推進分野主査
 
研修日前日に中野区議会議長に就任された、「いでい 良輔」議長に出迎えを頂き、恐縮する中での2項目の研修を致しました。

「(仮称)総合こどもセンター整備事業」研修内容

視察01
児童虐待相談対応件数は年々増加傾向にあり、平成27年度に子ども家庭支援センターで受け付けた児童虐待相談件数は485件であり、前年度と比較して約1.3倍の増となっているとのことである。中野区においては、児童虐待の現状を踏まえ、児童虐待対応等の機能強化を図るため、児童相談所機能の設置に向けて検討を進めている。

(仮称)総合こどもセンターは、児童相談機能に加え、要保護児童等支援拠点としての虐待等専門対応機能、及び教育相談、若者支援機能を併せ持つとともに、適応指導や就学相談機能等も併設し有機的に連携を図っていく施設を目指しているとのことである。具体的な機能として、①相談機能の一元的対応②子ども・若者専門的支援・指導機能③特別支援教育対応機能④適応指導教室の機能が分担・連携して対応する総合的な施設となるという事である。
 平成32年度に整備を予定している第十・第三中学校統合新校複合施設に設置予定とのことである。また、児童相談所の設置にあたって必要とされる、一時的に子供を保護・観察する一時保護施設については、別に確保する予定とのこと。ほかの児童相談所設置市となる区と共同で設置することも視野に入れて、検討するとのことであった。

(所 感)
 本市にあっても、児童虐待の問題は年々大きな問題となってきていることは、否めない事実である。これまでも、議会の中で児童相談所の在り方について、議論されてきているところである。森市長の選挙公約で、児童相談所の設置について掲げられている。ただ、今回の研修において感じられたことは、財源的な問題、職員確保・人材育成などの課題に難をきたすのではないかという事である。児童相談所の設置においては、施設の規模にもよるが職員の確保が大きな課題となるようである。特に専門職の確保というものが必要となってくる。児童相談所の設置の必要性は感じるものの、時間をかけて総合的な検討が必要である。担当部局における児童相談所設置自治体の運営状況等について、詳細な調査検討が必要であることを強く感じたところである。

「めざせ ごみゼロ生活」に関する施策について

視察02
どこの自治体においても、家庭ごみの減量化・資源化への取組みが重点施策になっている。中野区における取組について研修を致しました。
○ 入口からのごみ発生抑制、再利用の意識醸成
1.普及啓発の充実

 (1)「資源ごみの分け方・出し方」リーフレット等の充実
(2)スマートフォンのアプリケーション等を活用した情報発信、啓発
(3)イベント等での啓発活動
(4)ごみ減量出前講座等の充実
(5)子どもや若年層のごみ減量・リサイクル意識の育成
   大学の入学ガイダンスでの情報提供、小学生用ごみ減量普及啓発冊子発行
2.家庭ごみの適正排出の推進
(1)排出調査等の指導体制の強化
(2)集積所等監視カメラ等の設置(不法投棄や不適正排出等の問題を抱える集積所)
(3)優良集積所認定制度の実施(優良集積所には、認定適合標識を掲示)
(4)家庭ごみにおける費用負担制度の導入検討
○ 資源回収の更なる推進
(1)集団回収に対する支援の推進(古紙回収は、町会・自治会等が回収)
(2)びん・缶・ペットボトルの回収(行政回収)
(3)破砕回収機によるペットボトルの回収(スーパー14か所に破砕回収機設置)
(4)プラスチック製容器包装の回収
(5)乾電池の回収
(6)金属含有粗大ごみの資源化(27年度から回収)
(7)廃蛍光管の回収
(8)使用済み小型家電の回収(26年度から回収)
(9)廃食用油の資源化(27年度から月1回の回収)
(10)新たな資源化への取組み(陶器・ガラス・金属の資源化)


○ 事業系ごみの減量と適正排出
1.事業系ごみの適正排出の促進
 (1)排出指導の徹底
(2)事業系廃棄物収集届け出制度の実施
○その他
1.訪問回収の充実(訪問回収を通じて安否確認)
2.リサイクル展示室
以上のような、ことを重点施策として取組んでいる。本市の取組みも重なる点はあるが、スマホを活用した情報発信、小学生用ごみ減量普及啓発冊子の発行など、本市においても検討すべき課題があった。
     
(所 感)
 中野区は、面積15.59平方キロメートル、人口約31万5千人の人口密度の高い区である。27年度におけるごみの収集量約83,500トンとなっている。これらのごみにおける、資源の量も年々増加してきており、ごみ・資源の適正排出・適正管理の啓発に積極的に取り組んでいる。
 とりわけ、町会・自治会による古紙回収の取組みには感心させられたところである。町会・自治会等が回収事業者と契約し、引き取ってもらうという集団回収には驚きを感じるところである。町会・自治会等の加入率は低いとのことであるが、これまで長年にわたり実施されているという事であるが、大都会では考えられない事象である。また、優良ごみ集積所認定制度への取組みにおいても、認定申請件数が増加してきていることも驚きである。中野区においては、研修内容に記述してある通り、様々な取り組みを駆使しながら、ごみゼロ推進を図っている。本市にあっても、ごみの減量化に取組んではいるが、住民への啓発、特に若者世代への啓発など、参考にすべき点が多々あると感じている。ごみの有料化も検討されているが、中野区に学ぶ点もあると思う事から、詳細な情報を当局も収集すべきと感じた。
(文責:堀 純則)

 

【金沢市】
1、調査項目
金沢市児童相談所について視察07


2、日時・場所
平成29年5月24日(水)午後1時~1時30分
こども総合相談センター(金沢市児童相談所)
3、説明者
金沢市児童相談所所長
同 所長補佐
4、説明内容
(1)こども総合相談センター(金沢市児童相談所)の特徴
①予算の編成・執行、議会対応など本庁のこども政策推進課を経由することなく直接行う。
②要対協の事務局
(2)県内児童相談所の所管
石川県七尾児相 管内人口20万人
金沢市児相 管内人口46万人
金沢市は平成18年度から全国初の児相設置市
石川県中央児相 管内人口50万人
(3)設置の背景
①少子化対策と児童福祉施策でできることを可能な限り実現していた中で唯一できなかったのが児相の設置であった。
②地方分権の実現という視点で市が権限を持つことにより市民福祉の向上に繋がるとの首長の強い思い。
(4)中核市児童相談所ならではの「強み」視察04
①管轄区域が本市の行政区域に限られ、機動力に富む。
②「都道府県と市区町村」という二層構造関係はなく、市民に身近な相談機関として機能する。
③保健センター、保育所、学校などの関係機関が同じ市の機関であるため密接な連携が可能。
(5)金沢市が児相を設置したメリット
上記(4)と同様のことが言えるが
①児童虐待等への対応が迅速に行える。
②児童の処遇について最後まで責任を持って行える。
③金沢市独自のコミュニティ、地域のこどもは地域で守るという善隣館思想により、地域における児童の見守りなど幅広い活動が期待できる。
(6)石川県から金沢市への事務移譲
①平成17年に児童相談所開設準備室を設置
②業務移管に当って、児童福祉司候補者3名(保育士、社会福祉士、生活保護ケースワーカー経験者)を石川県中央児相に派遣し実地視察06研修とケースの引き継ぎを行う。
③平成18年度児相開設後、2年間は所長補佐としてベテランの児童福祉司を県から派遣。
(7) 児相設置後に行った施策展開
①平成21年度
一時保護所の設置
②平成23年度
義務教育修了後から概ね20歳までを対象とする青少年相談の実施
③平成28年度
心に問題を抱える児童を対象に医学的見地の診断やカウンセリングを通した専門指導の実施
(8)児童虐待相談対応件数の推移
①年々増加傾向
特に、平成24年度、警察庁が「こどもの前での激しい夫婦喧嘩は心理的虐待に繋がる」と対応を強化したことから増加してきた。
②児相全体としては、過去5年間、900件から1000件を推移
③児童虐待相談受付件数は、平成27年度332件、平成28年度400件で増加傾向
④年齢別
小学生113件(34%)、3歳~就学前82件(25%)、


(9)金沢市の児童虐待に関する相談状況
①実母51%、実父40%
②相談経路は警察が最も多く、123件で、次に近隣・知人、学校、虐待者本人、他の児相
(10)一時保護の状況
必要がある場合は、親権者の同意がなくても保護が可能
委託の場合…乳児院、児童養護施設、医療機関等

区  分 26年度 27年度
一時保護所(平均保護日数) 127(13.7日) 111(15.1日)
一時保護委託 29 34
156 145

(11)組織(H28.4.1現在) 別添資料参考
職員配置
38名、非常勤職員数27名
専門職の採用については、平成9年から市の職員として、職務経験者(社会福祉士2~3名)をコンスタントに採用してきたので、専門職の確保については、問題なかった。正規職員として採用されるのは魅力がある。
*児童相談所嘱託医等
小児科医 6名 精神科医 4名 顧問弁護士 1名
(12)予算概要(平成28年度) 別添資料参考
①児童保護措置費、自立支援委託費、一時保護所運営費については、国庫補助、地方交付税措置あり。
②建物の建築費については、国の補助無し。
金沢市の場合、こども総合相談センターの建物はNTTの施設を買い取り改修。
一時保護所については、新たに建築。建築費用2億5千万円。
5、所 管
厚生労働省は、児童虐待の対策を強化するため、今年から5年の間に全ての中核市が児相を設置すべきとしており、財政支援などの強化を図っていくこととしている。2004年の法改正で、中核市でも児相の設置が可能になったが、中核市48市のうち、既に設置したのは、金沢市と横須賀市の2市だけである。中々設置が進まない理由は、人材確保の困難さと財政面での負担の大きさである。
本市においては、昨年の市長選挙において、森博幸市長が選挙公約に掲げ、第5次総合計画の後期基本計画の中にも盛り込まれている。また、29年度新年度予算にも調査費が盛り込まれたところである。
鹿児島県には3つの児相があり、本市も県の児相を利用しているが、本市の利用の割合が高く、県からも鹿児島市児相の設置を望む声が強い。
今回、金沢市の児相を視察させていただき、職員配置、予算の面と課題の大きさを改めて認識したところである。
しかし、増加する児童虐待に迅速に対応するためには、関係機関が密接に連携できる市独自の児相が必要であり、更に、一時保護所の設置については、建設費は自前であり、負担は大きいが、すぐに保護しなければならない事例もあり、同時に設置すべきとの金沢市の説明であった。
今後、当局も調査を進めると思うが、先進事例の調査を始め、前向きに検討すべきとの想いを強くした。
文責 古江尚子